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2012年3月24日 (土)

 第十二話:駄菓子屋のクジと過剰なサービス

 私たち昭和40年代に子供時代を過ごした世代は、駄菓子屋というのに懐かしさと子供時代の特別な思いを感じるわけです。しかし、どういうわけか、妻は駄菓子屋が存在しないような大都会の真ん中で生まれ育ったので、そういう駄菓子屋経験がありません。最近、スーパーなどで昔なつかしい駄菓子屋コーナーなんてのがあることがありますが、私がいちいち「なつかしい!」と感動してしょーもない菓子を買ったりするのをみて、「なんであんな気味の悪い菓子が欲しいわけ?」といっていたりします(苦笑)。まあ確かに、冷静に考えると気味の悪い菓子ではあります。しかし、そんな気味の悪い菓子でも、子供にしてみれば、ちゃんとしたスーパーなどでちゃんとした菓子を買うよりは、駄菓子屋に行くほうがずっと魅力的だったわけです。 

 あれは小学校2年生くらいのことだったかな?小遣い10円もらって近所の駄菓子屋にチョコレートの「くじ」を引きにいきました。チョコレートの「くじ」。「はずれ」だとなんか一口サイズのちっちゃいチョコで、上の等が出るとだんだん大きくなるっていうの、上の等が当たって、友達に大きなチョコレートを見せびらかしながら食べるってのが一つのステイタスみたいなもんでしたね。あれは一種の「遊び」だったと思うんです。単にチョコレートを買いにいくという目的よりも、「くじ」を引くというのが「遊び」の一つでした。

 さて、小学生の私は、そういうわけで、駄菓子屋にいって「くじ」を引きました。くじを引くのも子供なりのノウハウが流通していて、「端の方のを引くと当たる」とかいうのが当時の子供のあいだでは定説になっていました。まあ、ああいう駄菓子の「くじ」というのは、最初から一等が出てしまったりすると、だれも引きたがらなくなるので、アタリくじは別になっているんです。だから、駄菓子屋さんとしては、そういうアタリくじは端の方に入れておいて、あまり引かせないようにしておくか、あるいは最初から入れないとか、そういう工夫をしていたと思うんで、「端の方があたる」というのはたまたまそこの駄菓子屋さんがアタリくじを端の方に入れておいたのを子供なりのリサーチにより発見したということでしょうね。

 さて、その日もその子供なりの定説にもとづいて端の方を引きました。すると、なんと1等です!「やった~!」と思った私は、よろこびいさんで店のオバチャンにその1等くじを見せました。そうしたら、オバチャンが「ちょっとまって」といって店の奥にひっこみ、「1等はこれね」といって差し出したものは....なんと「ソロバン」でした。ちゃんとした大人が使う木製のソロバン。確かにチョコレートよりははるかに高価なものですが、子供としては「がっくり」だったというかショックというか、しかし、今日一日の小遣いをこんなものに換えられてはたまらんと思い、必死で抵抗しました。「ぼく、はずれでいいから、これにして!」と、はずれの一口サイズのチョコを指差して言いました。しかし、オバチャンも粘ります。「これがあたったんだから、これ持ってかえってよ。おかあさんが喜ぶよ。」(注:昭和40年代ですからね。今、そんなもの持って帰ってもお母さんは喜びません)といいます。「これ、買ったら1000円はくだらないよ」と。そりゃ、そうかもしれないけど、オレはチョコが欲しくてくじ引いたんだがなぁ。どうしても納得がいかないのでずいぶん長時間粘りつづけました。そのあいだに近所のオバチャンが店にきて、そのやりとりを見て店のオバチャン側についたりして必死に私を説得してました(笑)。しかし俺も頑固だよなぁ。ようやく、店のオバチャンもあきらめて、「しょうがないねぇ、もういっかい引いていいよ。でもまた1等だったらこれ持ってかえってね」というので、もう一度くじを引かせてもらい、「はずれ」が出た時の嬉しかったこと(笑)。そうしてはずれのチョコレートを持って店を出た時はあたりはもうすっかり暗くなっていました(爆笑)。

 そうして、大人になってからも、似たような経験が(苦笑)。まだ独身の頃、近所のスーパーに歯磨き粉を買いにいった時の事です。棚から歯磨き粉を一つとって、買い物カゴに入れたその時です。それを見ていた店のオネエサンがよってきて、「今、キャンペーンやっているのでサイコロを振ってください」といいます。なんでも「ゾロ目」が出たらアタリなんだそうで、「はいはい」と何気なくサイコロをふったら、出てしまったんです。ゾロ目。「おめでとうございます!」といって洗濯洗剤やら洗濯ばさみやらハンガーやらの洗濯用品やら、何故か生卵やら、と、持てないくらいの賞品をくれました。独身なんでそんなに沢山いらないんだがなぁ、と思いつつも、子供のころのように「はずれにしてくれ」とも言えず、他にもいっぱい買い物したかったのに、もうこれ以上手に持てず、まっすぐ家に帰るしかなくなったのでした(苦笑)。

 なんというか、過剰なサービスなんですかね。ありがた迷惑というか。

 過剰なサービスといえばもう一つ。結婚して間もない頃、近所にレストランが二つ向かい合っているところがあり、その一軒に行ったときのことです。妻と二人あわせて2000円くらい飲み食いしただけなのに、会計すると、500円のサービス券を2枚くれました。「おいおい、これって半額って事?」あとできいた話しですが、どうも、その向かい合っている2軒の店がものすごい競争をくりひろげていたようで、もう一軒の店にいっても同じような状況だったそうです。で、折角500円サービス券もらったんだからと、しばらくしてまたその店に行きました。同じように妻と二人で2000円くらい飲み食いしました。500円サービス券を2枚使いましたので、支払いは1000円くらいだったのですが、それでもまた、500円サービス券を2枚くれました(驚)。これって、結局タダなんですけど!しかし、その時もらった500円サービス券は二度と使うことがありませんでした。何故って?しばらく後、その向かい合った2軒のレストランはどちらもなくなってしまいました。無理もないわな(哀)。

 まあ、商売ですから、サービスはほどほどに。過剰なサービスを迷惑がる私のような客もいるかもよ。

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